ふる郷の春秋 発刊によせて                          長野県議会議員 服部宏昭

 長野県の最北端である信濃町には、昔から外国人や墨客に親しまれた野尻湖があり、その山一つ隔てた向こうに山里集落である古海があります。その古海に北村功先生は生まれ育ち、今まで暮らし続けてこられました。その周辺は、春は芽吹き美しく、夏は緑いっぱいの本立から爽やかな涼風心地よく、秋は稲穂と錦織りなす紅葉が見事で、冬には雪深く北風がピュウピュウ鳴る懐深き自然に取り囲まれた所であります。先生は地域の人々と昭和の変動期を共に暮らし、たんぽや畑仕事に汗をかき、風雪に耐え忍びどこまでもやり抜く強靱な精神と、温摩誠実なお人柄で子どもからお年寄りまで誰にも親しまれてまいりました。また長い間小学校で教鞭をとられ、子どもたちが大好きな優しいいたわりの中でも厳しい面をもった教育者で知られ、先生の多くの教え子たちは現在あらゆる方面でご活躍されております。教員生活を去られてからは公民館や古海区などでまとめ役をされたりして、豊富な知識と経験を生かされ行政や文化並びに青少年育成の面で地域にも多大なご貢献をされ、今日もお元気で頑張っております。
 そして、今までこれらの農村生活を通して、牧歌的で素朴ともいえるこの地での暮らしで様々な感動した出来事や、厳しく麗しい自然の風景を水彩画として描写してこられたのであります。 この度、北村先生が大正から昭和、平成の半世紀を超えて、丹念に山河の自然や農家の風俗などを描かれた、これらのたくさんの絵画の中から選び編集されて画集を発刊されたのであります。心から祝意とともに敬意を表するものであります。そのどの作品も愛する郷土、誇れる郷土を、あるときは思いっきり大胆に、またあるときは愛情あふれる繊細なタッチで画面いっぱいにまとめあげられておりまして、どれも素晴らしい優秀な逸品であります。またその時代の地域社会の様子や暮らし、さらに地方の産業や経済まで理解することができる温かさのこもった、学べる教材にもなるのであります。この画集は貴重な歴史的価値があり、北村功先生は未来への尊い遺産を提供くださったのであります。
 ここに改めて、北村功先生の偉業に心から謝意を表し、いつまでも絵をかき続けていただき、奥様とともにご健勝にてお過ごしくかさるようお祈り申し上げます。

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