ぐしもち

 屋根替普請。今日は棟上げの日だ。
 足場の付いている屋根から「センネン マンネンのおいわいだー!!」という声が上がる。裏でも表でも声が掛かる度にバラッバラッと白い菱形のぐしもちが木の葉のように落ちてくる。
 「あっ、こっちだ。や、こっちの方にも」キャアキャアワァワァ。
 時には数十人も集まった子ども。子どもばかりではない。その中に交じって手早に拾う大人たち。ふところやポケットに、半分土のついたような、もみ合ってぐにやっとなった四角とも三角ともいえないくらいに変形した「ぐしもち」をねじ込む。
 「もち」に限らず、ダイコンも投げたり、孔に紙きれを通した「銭」も家の主人の歳の数だけ投げる。この銭を囲炉裏の「カゲツケ」に結びつけると火難除けになるとか、ぐしもちを食べると長生きするとかいった。
 30〜40年ごとに「ふきかえる」大普請である。この茅はムジン組織で地区のほとんどが加入している共有地で刈り、各戸からのボランティアでそれを運ぶ共同作業体制が確立されていた。

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