馬冷し

 7月〜9月ころまで馬はこれといった仕事がない。堆肥づくりが最大の仕事(堆肥の重石的な役目)。毎朝草刈りにひいて行き、一駄(6東)運搬。その草が敷ワラの役目と飼料を兼ねている。厩の中で踏みつける役目みたいなものだ。その馬に気分転換をさせる水浴び運動のため、夕方になると小川へ連れて行き、水をかけて、洗ってやるのが男の子の仕事だ。「大きな馬を連れていける」ことが年齢の低いほど感心がられ、子どもたちはそれを誇りともしていた。厩にただ仕事もなしに過ごしていた馬は、鞍なしでひっぱられて行くとはしやいで跳びはねることもしばしば。「ドウッ」「ドウッ]と言うと止まる。「アイッ」「アイッ」は歩け。裸馬に乗っての騎手気分は最高だ。暴れられ落っこちたことも思い出のひとつ。
 小川ではだいたい3頭以上が一緒になる。大人たちに「ほう、おめんちの馬はこえてるなあ」なんて言われると、自分がほめられた気分だった。尻のあたりがはち切れるように丸々大っている私の家の馬は、いつもほめられっぱなしだった。

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