えなごつかめ(蝗とり)
 稲穂が重く垂れるころ。10月の初め。恒例のイナゴ捕りが今日も行われた。2時限が終了すると田圃へは学校から一斉に出てきた、イナゴ捕りの子どもが散在する。手拭いを半分に折り、両側を縫ったイナゴ専用の袋をてんでに振り回し、あっちの畦からこちらの畦へ3人5人と、跳びはねるイナゴを捕っては袋へ入れる。
 教室から解放された嬉しさも手伝い、あっちこっち騒いだり捕ったり……。
 約2時間。誰とはなしに引き揚げる。その後教室で1人ずつ何匁捕れたか計って先生がエンマ帳へつける。なんの資料にするのか全く分からないが、友だち並の量には達したかった……。
 庭でおじさんが大釜で湯を沸かし、学年毎に苑でる。真っ赤にゆだったイナゴはネコの上に広げられ、一升いくらで販売される。残りは乾燥させて売れる日を待つ。大勢の力を結集させることにより、この金が備品になり、オルガンやピヤノの購売費になったと聞く。
 イナゴは当時のタンパク質・カルシウム資源の王者として珍重され、よく売れたようだ。村の大人たちは農作業が忙しいためか、捕る者はほとんど見かけなかった。
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