夜なべ
 冬の夜は正月以外だいたいの家は夜なべをした。主として藁仕事だ。
 藁でいろいろ作るには、まず藁の葉っぱ(スベ)を取り除く(ワラスグリ)。この葉っぱもすぐ捨てないで「スベブトン]といって敷布団の代わりにした。もくもくして軟らかくて暖かい、いい敷布団だ。今ならマツトレスってもんだ。「すぐった」藁のままで加工する製品もあるが、主としてたたいて繊維を強くした藁を使う。そのためワラタタキが夜なべに行われる。片手に持った杵で打つ。片手は藁をまわしながら、じょうべし場という石の上でトントンと。道を歩いていると、だいたいの家から藁打ちの音が聞こえたものだ。
 たたいた藁で最も使われるのはスベ縄だ。手つばきをつけながらお参りするような格好で、シャリシャリと縄にしていく技術は見ていても気持ちいいほどスピード感がある。 8時半ころまでも続け、ようやく風呂へ入り1日の終わりとする。こうした手作業をアカギレ、ヒビの手にもめげず、冷え切った土間や上がり口のあたりで爺さん婆さんになってもやっていたのだ。
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