婚  礼
 ♪きょーおはーなあ一 日もーよーしー
  ちょうーよなあ一花よーの 若ま一つさまーがー♪
 長持ちを担いだおっさんが、赤い顔でよろよろしながら歌っている。ちょっと歩いて手に持っているまた棒をつっかい棒にして休む。その後ろから箪笥を背負い、鏡台、布団、柳ごりなどを背負った、シャツに腹かけ姿の若い衆が続く。
 見物の女、子どもがぞろぞろ後に続いたり、軒々から飛び出して来て眺めている爺さん、婆さん。今日はどこそこの婚礼だと、最高の見物だった。
 荷物は前日か前々日に運びこまれ、運んだ者は婿方の家で大変なご馳走にあずかる習わしだった。いわば婚礼の前夜祭なのだ。荷が着いた翌日ぐらいが本番の婚礼。翌日は近所呼び、さらに「ご苦労呼び」などと4〜5日は客寄せしたのが当時の習わしだった。
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