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高山寺の竜

 むかし昔のこと、夜な夜なただならぬ響きがして、朝起きてみると、お堂の東側にある立派に伸びた麻が一面に倒され、水でぬれておりました。
 どうも不思議なことであるので、これは何物かの仕業に違いないと思った和尚様は、日の暮れるのを待って本堂の中でひそかに様子を伺っていたところ、そうすると夜が更けたころ、観音堂の彫刻の竜が出てきて、観音堂下の寺池へ行き、その水を腹一杯飲みこんできては、暴れながら
その周辺の麻畑へ、えらい勢いで吹き掛けるではありませんか。
 これは全く意外にもお堂の竜の仕業であったのであります。
 そこで和尚様は、村中の人にその出来事を話し、寺へ集まってもらい、観音様の供養とともに竜神に祈祷を捧げ、その竜の目へ五寸釘を打ち込み封じ込んだのです。
 それから後、その竜が出てきて付近の畑を荒らすようなことはなくなったといわれます。

小川村誌より
作・高山寺
さし絵・戸谷慶治郎
採集地・高山寺

長野県 長野地方事務所 長野広域行政組合刊 長野地域民話集昔々あるところより
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